特殊用途半導体
最近、大量に使用されている巡航ミサイルの、撃ち落とされたと見られる残骸の映像が報道されていました。
電子基盤のズーム映像でしたが、某国製のDSPが実装されていました。
見慣れたロゴなのですぐに、某社のものだと識別できました。
既に部品が調達できないことは明白でした。
在庫が切れれば、その兵器がディスコンになることは推察できます。
同種のチップを設計、製造できる人材と設備があるのはUKとユーロ圏のいくつかの国、そしてイスラエルしかありません。
マイクロプロセッサとそれに準じる半導体を供給できる国が、レアメタルの調達同様に限定されているのは興味深いことです。
最近流行りのAI分野には多くの人材が供給されているが、マイクロプロセッサとなるとソフトウエアのようにビルドアンドスクラップで次々に試せるものでもなく、容易く設計できるものでもありません。
エンジニアリングサンプルを小ロットで作ることはありますが、大量生産が前提です。こうした製品は小ロットではコストが釣り合わないのです。
開発ツールも含めて作るとなると、高い専門知識と大量のマンパワーが必要になります。
しかし、そうした人材は、特定の業種の知識集約型の部門が集積している地域に集約しています。
オースチンとサンノゼ、ケンブリッジとテルアビブ辺りです。
Risc-Vの行方
Linuxはフリーなソフトウエアですが、既に堅牢なシステムとしてスーパーコンピュータからスマートフォンまで幅広く使用されています。
このOSはボランティアの手で設計、開発され、私の知る限りディストリビューションに制限らしい制限はありません。
使用の際は、追加のソースを含めてソースコードを全てオープンにしなさい、という制限くらいです。
これはLinuxやフリーソフトウエアの思想と言えます。
おそらくPC用のLinuxは、いづれの国であっても外交関係にもかかわらず使用されています。
実は、同様の思想で設計されているマイクロプロセッサがあります。
Linux同様にフリーのRisc-Vプロジェクトです。
Risc-VはLinux同様にボランティアの共同作業によって開発され、供給されるようになります。
LinuxやRiscーVもプロジェクトの意図は、GNUプロジェクトのストールマン氏と共通していることでしょう。
しかし、技術や科学には負の側面もついてまわります。
好ましからぬ用途で使用される可能性は否定できません。
おそらく設計者の意図に反する用途で使われることはあることでしょう。
これは現実の問題として潜在的なリスク要因です。
マイクロプロセッサもVHDLのようなハードウエア記述言語で、ソフトウエアのようにコードとして設計されます。
Risc-Vのディストリビューションを輸出規制で縛れるでしょうか。
製造装置があれば、Risc-Vはシリコンの上に乗ってパッケージ化され、量産することができます。
2023年4月、半導体製造装置は特定の国への輸出規制の対象になると報道されています。